「なめらかなお金がめぐる社会。」感想と書評。小さな経済圏とは? 若い世代が幸せに生きるためのヒント。
なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。
自分のキャリア(というか幸せだと思える生き方)を考えるにあたって
新しい社会のかたち(評価経済/共感経済/信用経済)を理解する
新しい社会において、幸せに生きるためのヒントを得る
ために読みました。
ゆとり世代の自分としては「そうそう!その考え方分かる!」というポイントが多々あり、良い気づきが多かったです。
今の生き方にモヤモヤしているあなた!は、たくさんヒントを得られると思うのでぜひ。
家入一真さん とは
家入一真 いえいりかずま
連続起業家 1978年、福岡県生まれ。中学2年から登校拒否、極度の引きこもりに。県立高校を1年で中退後、大検を取得し東京芸大を目指す。新聞奨学生をしながら芸大予備校に通い留年するが、父親の交通事故などがあり、やむを得ず就職。デザイン会社に入社し、在職中にウェブサイトのデザインや開発に興味を持つ。22歳の時に「paperboy&co.(現:GMOペパボ株式会社)」を創業。29歳でJASDAQ市場、当時最年少で上場する。その後、paperboy&co.を退任し、カフェやギャラリーのプロデュース・運営を行う株式会社「partycompany」を創業。さらに「ハイパーインターネッツ」を創業、国内最大規模クラウドファンディングサービスである「CAMPFIRE」を石田光平と共に立ち上げる。同時期に「partyfactory」を創業、スタートアップベンチャー50社程に投資、育成を行っている。また、新しい働き方を提唱する「Liverty」を設立、学費支援「studygift」や現代の駆け込み寺「リバ邸」などにも力を入れる。Livertyのプロジェクトから生まれたスマートEC運営会社「BASE」の共同創業取締役も務める。(引用:QREATORS)
新しい社会のしくみと生き方を考える上で、外せない方です。
他に抑えておくべき(というか自分が影響を受けている)方は、堀江貴文さん、西野亮廣さん、前田裕二さん、箕輪厚介さん、イケダハヤトさん、はあちゅうさん、phaさん、など。
本書の要約
概要
全体をざっくりまとめると、、、
- 単一な「幸せ」の尺度がなくなった現在において、「幸せ」とは、「自分のやりたいことができる」こと。
- 新しい社会の特徴は「評価経済/信用経済」というもの。信用がお金に変わる貨幣隣、お金がなくとも、個人に信用力次第で、色々なことが可能になる。
- 新しい社会では、信用や共感で繋がる「小さな経済圏」を持つことで、新しい生き方ができる。
という感じでしょうか。
人々の価値観が新しくなり、社会の仕組みがアップデートされた現代において、
その姿を正しく理解し、その上で個人が「幸せ」に生きるためのヒントが盛りだくさんです。
旧価値観(物質的な豊かさの追求)と新価値観(「好きなことで生きていく」)のハザマで苦しむ ゆとり世代以降の若者には
かなり刺さる内容になってます。
小さな経済圏とは?
- 小さな経済圏:地域やネット上で小さなつながりを持って支え合うコミュニティ。共感や信用で繋がる、支え合いのコミュニティのこと。
本書で家入さんは、新しい社会の特徴である「評価経済/信用経済」での、「小さな経済圏」で幸せに生きる選択肢を丁寧に提示しています。
「評価経済/信用経済」の特徴、メリット(そして危険性やリスクも)、
「小さな経済圏」の特徴、メリット(そして危険性やリスクも)、
丁寧に真摯に説明されていてとても好感が持てました。
細かく見ます。
第1章のまとめ
「幸せ」とは、「自分のやりたいことができる」ことであり、
「いい社会」とは、「各自が自由に幸せを追求できる社会」である。
- 以前は、物質的に豊かになることが、社会で共有された「幸せ」尺度だった。
- 頑張って働いて、会社に貢献する。お金を稼ぐ、モノを手に入れる。
- ただ現在では、物質的に豊かになることが幸せの共通の基準ではなくなった。幸せの基準が多様化。
- そんな社会では、「どんな生き方がしたいか」「自分にとっての幸せとはどこにあるのか」を探ることが大事。
家入さんは、さとり世代を念頭に若者の価値観の変化を述べられているけども、
この価値観の変化は、ゆとり世代以降に、徐々に起きている事象だと思う。
イメージ的には、
みたいな感じ、だと思っている。
社会の価値観が多様化していくことは、必ずしもいいことだけではない。自分の中に「こうやって生きていきたい」とか「これだけは譲れない」っといった確固たる幸せの基準がある人にとっては、それを追求できる環境にあるという意味で理想的な社会だけど、自分なりの基準がない人にとっては、これもまたつらい。 (引用:「なめらかなお金がめぐる社会。」 (Kindle版 位置330-333) )
これは言い得て妙。
新しい社会は「評価経済/信用経済」という特徴をもっており、その社会では「自分は何者か、何が何かしたいか?」という問いに答えられる人の方が生きやすい。
ただ、旧価値観に引きづられた ゆとり/さとり世代の若い人は、その問いに答えることができずに、苦しんでいるのではないかな。
第2章のまとめ
信用は、お金に変わる貨幣。お金がなくとも、個人に信用力次第で、色々なことが可能になる。
信用や共感で繋がる「小さな経済圏」を持つことで、新しい生き方ができる。
- 新しい社会の特徴は「評価経済/信用経済」。信用が新たな貨幣に。
21 世紀に入り、資本主義経済の主役であり続けた「お金」にとって代わる新しい貨幣が生まれている。 それは信用力だ。 周囲からの評価や、周囲への影響力などが高いことが価値につながる経済圏を、評価経済と呼ぶ。SNSやスマホが本格的に普及しだした2011年くらいから言われはじめたことで、現在、そのトレンドはますます強くなる一方だ。ファンが多ければプロジェクトが成功しやすいクラウドファンディングも、評価経済の一形態だと言える。(引用:「なめらかなお金がめぐる社会。」 (Kindle版 位置604) )
- 自分のファン(自分を信用してくれる人)を増やすことの重要度が増してくる。
- 小さな経済圏:地域やネット上で小さなつながりを持って支え合うコミュニティ 共感や信用で繋がる、支え合いのコミュニティ
- 「コミュニティ」であることもポイント。個人の居場所でもある。
- 小さな経済圏を支える仕組みが様々に生まれている
第3章のまとめ
家入さんの考え方がよくわかる一文。
そもそも、僕がCAMPFIREに絞って活動している理由は、クラウドファンディングは人生の選択肢を増やし、自由な生き方を可能にする手段として強力なプラットフォームであると信じているからだ。
なぜ多くの人は、人生の多くの時間を好きでもない仕事に費やすのか? それは、他に生活費を稼ぐ手段がないと思い込んでしまう世の中があるからだ。なぜ多くの人は、富や権力に取り憑かれてしまうのか? それは、富や権力が自己実現の可能性を広げる唯一の選択肢だと思い込んでしまう状況があるからだ。
なぜ多くの人は、大きなものに依存してしまうのか? それは、自力で生きていくことは限られた強い人にしかできないと思い込んでいるからだ。人が生きづらさを感じる瞬間というのは、既存の社会にお膳立てされた仕組みや価値規範にフィットしないときに多い。
だから僕は選択肢を増やしたい。
(引用:「なめらかなお金がめぐる社会。」 (Kindle版 位置1136-1141) )
- 家入さんの取り組みには一貫性があって、「居場所を作る」「選択肢を増やす(言い訳をなくす)」こと。
- クラウドファンディングは、信用力をお金に変える装置であり、人生の選択肢を増やし、自由な生き方を可能にする手段。
感想
新しい社会のかたちの理解と、そこでの個人がどう幸せに生きられるか、ヒントが盛りだくさんの一冊でした。
サクッと読めるのもまた良し。
悩めるゆとり世代にオススメです。