「メモの魔力」書評と要約-自分の人生を生きるためのメモの技法
メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)
箕輪厚介さんと SHOWROOM 前田裕二さんタッグによる書籍第2弾「メモの魔力」を読みました。
前著「人生の勝算」が良著ですっかり前田さんのファン。今回の「メモの魔力」は以前にましての名著、そして何より、 自分の人生(とキャリア)に悩んでいる、今の自分にまさしく必要な一冊 でした。
ちなみに、発売直後からかなり売れている模様。
過去最大に売れてる🙄🙄
— 箕輪厚介(アジア進出)死ぬこと以外かすり傷 (@minowanowa) 2018年12月24日
初版は幻の一品になりそうだな。
品切れすみません。。 pic.twitter.com/axIxIZkhIo
今、前田裕二[メモの魔力]の4刷3万部を決めた。これで合計17万部。しかし、年末までに書店に着いている初版、2刷の合計7万部はこの勢いでは無くなってしまう。3刷、4刷の合計10万部は年明け9日過ぎにならないと書店に届かない。営業局と相談して決めたことを後悔。独断で決めなければダメなのだ。
— 見城 徹 (@kenjo_toru1229) 2018年12月26日
今回は、そんな「メモの魔力」の魅力をお伝えしていきます。
目次
前田裕二氏 とは
SHOWROOM株式会社代表取締役社長
前田裕二 まえだゆうじSHOWROOM株式会社代表取締役 1987年東京生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系投資銀行に入社。11年からニューヨークに移り、北米の機関投資家を対象とするエクイティセールス業務に従事。株式市場において数千億〜兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。その後、0→1の価値創出を志向して起業を検討。事業立ち上げについて、就職活動時に縁があった株式会社DeNAのファウンダー南場に相談したことをきっかけに、13年5月、DeNAに入社。同年11月に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。15年8月に当該事業をスピンオフ、SHOWROOM株式会社を設立。同月末にソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受け、合弁会社化。現在は、SHOWROOM株式会社代表取締役社長として、SHOWROOM事業を率いる。(引用:QREATOR)
正直、前著の「人生の勝算」を読むまで、前田さんにあまり良い印象を持ってなかったです(経歴最強だし、金髪だし、長髪だし、IT起業家で「勝算」という強めな言葉を使っていたので、イケイケオラオラ系かと思ってました...汗)。
しかし、前田さんの過去やそこから生まれた価値観・徹底した利他精神(他者への想いやり)・超絶努力家な点を知り、今はすっかり大ファンです。超いい人。どんだけいい人なんだよと思ってます。
まじいい人や。自分に関わる全ての人をできる限り幸せにしたい、という想いが伝わる。(どんだけファンやねん)
人生の勝算 も面白かったです。
「メモの魔力」書評と要約
さて「メモの魔力」の内容を要約すると...
メモは、知的生産・アイデアを生むのための技術。
フレームワークは、「ファクト→抽象化→転用」。
「自分は何者か」「自分は何をやりたいか」が分からなければ、メモの技法は意味をなさない。
メモによって、自分を知り、自分の人生を変える。
「メモの魔力」の魅力は2つ。
一つ目は、第1章〜第2章で主に解説される、メモの技法(「ファクト→抽象化→転用」)。
内容的には、これまでWebやNewsPicksなどで語られてきた内容(以下の記事など)を再構成したもの。
二つ目は、第3章以降で語られる、メモを通じた自己理解と自己実現の方法。
本書の魅力の核心は、特に後者(メモを通じた自己分析と自己実現)にあります。読んでて痺れます。
メモを通じた自己分析と自己実現
前田さんは本書の中で、「メモや抽象化の技法を学んだところで、結局、『自分が何をやりたいか』ということが明確でなければ、さして意味がない」と述べています。
「本書は、単なるメモや思考術のノウハウ本ではありません。これらメモや抽象化の技法を学んだところで、結局、「自分が何をやりたいか」ということが明確でなければ、さして意味がありません。(引用:「メモの魔力」p.116)
「コンサルタントの波頭亮さんと対談した際に、「お金を持っている人から順に豊か、という時代もあったかもしれないけれど、これからの時代は『アジェンダ』を持っている人が豊かになる。つまり、自分がやりたいことや、美意識が明確な順に豊か。お金がいくらあっても、やりたいことや美意識が明確でない人は、不幸になるかもしれないね」ということを言っていました。」(引用:「メモの魔力」p.118)
最近「好きなことで生きていく」という言葉をよく耳にしますが、これからの時代は、やり(遂げ)たいことや好きなことをやっている人の方が(幸せに)生きやすい時代が来ると思います。
というのも、いくつか理由はあると思うのですが、大きいのは以下の二つで、
① 「AIが仕事を奪う」時代が来るから。
AIやテクノロジーの発展によって、単純で機械的な仕事(に価値)はなくなっていきます。そうすると人間の仕事は、内発的(よりオリジナリティがあり、よりクリエイティブ)なものになっていく。好きなこと・やりたいことをやっていた方が、オリジナリティもクリエイティビティも発揮されやすい。
② 日本が物質的に豊かになったから。
日本が物質的豊かになったことで、「幸せ」の基準や価値観が変わってきている。「夢のマイホーム」「いつかはクラウン」といった昭和的・画一的な「幸せ」の基準がなくなった現在においては、「幸せ」に関して、物質的満足よりも、精神的な満足や自己実現に対する比重が高くなってきている。仕事においては、「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」などを求める人が増えている。
から、かなーと(ここら辺の議論は丁寧に再構築すべきだけどざっくり言うとこんな感じかな)。
このような時代において、充実した人生を送るためには、自分が何が好きか、得意か、何をやりたいか、どういう状態が幸せなのか、などなど、徹底した自己理解が重要。
この「メモの魔力」では、メモの技法(「ファクト→抽象化→転用」)を用いて、自己分析、ひいては自己実現する方法を丁寧にかつ具体的に指し示してくれる。
これから就活を控える学生や、キャリアに迷う社会人(というか全ての人)にとって、大きな指針となる本だと思います。
ちょうど人生とキャリアに悩んでいた自分にとって、大きな心の支えとなりうる本です。
巻末に付いている自己分析のための1000問、やりきりたいと思います。
メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)
「メモの魔力」各章要約メモ
ここからは、各章のまとめと自分が本を読んでいて心に刺さった点などのメモです。
第1章:メモで日常をアイデアに変える
メモは、知的生産・アイデアを生むのための技術。 知的生産を促進するための、メモの仕方(フォーマット)。
「AIが仕事を奪う」時代、単純で機械的な仕事に価値はなくなっていく。
人間にしかできない、創造的な活動により時間を割くべき。
メモは、創造的な活動を促進するための技術。
メモは、「第二の脳」であり、外付けハードディスクのようなもの。
記憶・記録をメモに蓄積し(AI的)、「知的生産」により脳のメモリを使う(人間的)。
メモの効用
① 知的生産性が増す
「ファクト→抽象化→転用」のフレームワークで、メモからアイデアを産む
② 情報獲得の伝導率が増す
聞き逃さずメモるという姿勢で情報獲得感度が高まる
③ 傾聴能力が増す
しっかり聞くという姿勢が、相手にもっと喋らせる
④ 構造化能力が増す
話を聞きながら、内容を整理する必要がある
⑤ 言語化能力が増す
インプットしたものをメモ(言葉)としてアウトプットする必要がある
ノートの使い方/色分け
情報にフラグをつけて、後々の検索性を高める 例)◎:ファクト、◉:抽象、学び、気づき、主旨。
第2章:メモで思考を深める
抽象化の3類型。抽象化する際のテクニックを説明。 ・What:名付け ・How:どんな? ・Why:なんで?
「解くべき課題を明確に持っているか?」がめっちゃ刺さった。
どんなにメモの技術が上がり知的生産ができるようになろうとも、 「なんのために知的生産をしているのか?」がはっきりしないと意味がない。どこかでぶつかる。
徹底した自己分析が必要。
第3章:メモで自分を知る
「自分が何者か」「自分は何をやりたいか」がわからなければ、メモの技法は意味をなさない 「ファクト→抽象化→転用」のフレームワークで、自己分析を深める。
ここからが本書の真髄。メモや思考術を身につけても、それを身につけた先に、自分がどうありたいか、何を成し遂げたいかを、自分自身が理解していないと意味がない。
特に、「AIが仕事を奪う時代」「個の時代」が幕をあけようとしている現在においては、徹底した自己理解が何より大切となってくる。
「本書は、単なるメモや思考術のノウハウ本ではありません。これらメモや抽象化の技法を学んだところで、結局、「自分が何をやりたいか」ということが明確でなければ、さして意味がありません。(引用:「メモの魔力」p.116)
「自分の望みを知らないまま、どんなビジネス書を読んでも、どんなセミナーに言っても、まず何も変わらないでしょう。」(引用:「メモの魔力」p.118)
「コンサルタントの波頭亮さんと対談した際に、「お金を持っている人から順に豊か、という時代もあったかもしれないけれど、これからの時代は『アジェンダ』を持っている人が豊かになる。つまり、自分がやりたいことや、美意識が明確な順に豊か。お金がいくらあっても、やりたいことや美意識が明確でない人は、不幸になるかもしれないね」ということを言っていました。」(引用:「メモの魔力」p.118)
第3章からが本書の核心になってくるので、まず第3章から読み進めていくのも有りかも。
第4章:メモで夢をかなえる
メモで自分の夢に近く
「言語化」で夢がかなうのは、
マインドシェア(夢に関して考える時間が増える)
言霊(夢を発信することで助けてくれる人が増える)
から。
第5章:メモは生き方である
メモは「姿勢」 。自分の人生にどこまで真摯に向き合うか。
- 習慣化してしまう
終章
前田さんは最高にいい人
- 一言でいうと、前田さんは最高にいい人。笑。熱い!
参考記事
ちなみに、「メモの魔力」は以下の記事の内容を再構成して作られている部分が多いので、「前田式メモ術」の概要を知るだけなら以下の記事を読むだけでも結構参考になります(と言ってもNewsPicksの有料記事なので読めないかもですが・・・汗)。
上記記事を読むだけでもいいですが、「メモの魔力」 の核心はやはり第3章以降の自己分析と夢の実現のパート(+おまけの自己分析1000問)なので、本を読むことを超絶にオススメします。